イスラム教徒が多い国ランキング30|人口と割合
イスラム教徒が多い国ランキング30|人口と割合
世界のイスラム教徒は、2020年時点で約20億人に達し、世界人口の約4分の1を占める。にもかかわらず、「イスラム教徒が多い国」と聞くと中東を思い浮かべがちですが、人数で最大なのはアラブ圏ではなく東南アジアのインドネシアで、約2億3900万人が暮らしています。
世界のイスラム教徒は、2020年時点で約20億人に達し、世界人口の約4分の1を占める。
にもかかわらず、「イスラム教徒が多い国」と聞くと中東を思い浮かべがちですが、人数で最大なのはアラブ圏ではなく東南アジアのインドネシアで、約2億3900万人が暮らしています。
筆者自身、イスラム学を学び始めた頃にこの事実で地理感覚を大きく塗り替えられました。
ここでは、人口の多い国と割合の高い国が別物であることを押さえながら、上位30か国の分布を通して、ムスリムの重心が南・東南アジアにある理由まで見ていきましょう。
イスラム教徒が多い国TOP10を一覧で把握する
世界のムスリム人口を並べると、人数で最も多いのはアラブ圏ではなくインドネシアで、約2億3900万人、国民の約87%を占めます。
初学者向けの講義で「世界一ムスリムが多い国は?」と聞くと、サウジアラビアやエジプトが先に挙がりがちですが、実際には東南アジアの島国が首位です。
地図に上位国を落とすと、その分布は中東だけではなく南・東南アジアと西アフリカにも広がります。
世界のムスリムは2020年時点で約20億人、世界人口の約25%に達しており、上位4か国だけでその約4割を占める集中ぶりも見えてきます。
1〜5位:インドネシア・パキスタン・インド・バングラデシュ・ナイジェリア
上位5か国の顔ぶれは、人数の多さが地域分布の常識をほどくことを示しています。
2位パキスタンは約2億2700万人、3位インドは約2億1300万人、4位バングラデシュは約1億5100万人で、南アジアだけで巨大な人口層を形成します。
さらに5位ナイジェリアが約1億2000万人で続き、トップ5で唯一のアフリカの国として存在感を放ちます。
国民の半数超がムスリムで、サブサハラ・アフリカにも大きな中心があるとわかります。
| 順位 | 国名 | イスラム教徒人口 | 国民に占める割合 | 主な地域 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | インドネシア | 約2億3900万人 | 約87% | 東南アジア |
| 2位 | パキスタン | 約2億2700万人 | 非公表 | 南アジア |
| 3位 | インド | 約2億1300万人 | 約15% | 南アジア |
| 4位 | バングラデシュ | 約1億5100万人 | 非公表 | 南アジア |
| 5位 | ナイジェリア | 約1億2000万人 | 国民の半数超 | 西アフリカ |
地図上で見ると、1位から4位までがほぼ帯のように南アジアへ並び、5位だけが大きく西へ離れてアフリカに置かれます。
筆者が学生と一緒に確認したときも、この配置の意外さに空気が少し変わりました。
人数だけを追うと「中東の宗教」という先入観が崩れ、交易と人口集中が重なった地域の実像が見えてきます。
6〜10位:エジプト・イラン・トルコと続く顔ぶれ
6位以降は、エジプト、イラン、トルコといった中東・北アフリカの主要国が続きます。
6位エジプトは約1億400万人、7位イランは約8800万人、8位トルコは約8400万人で、いずれも国の規模や歴史の重みを感じさせる人口です。
9位、10位にはアルジェリアやスーダンが入り、30位まで広げるとイラク、アフガニスタン、モロッコ、サウジアラビア、イエメン、ウズベキスタンも連なります。
人数の順位は、政治地図よりも人の移動と定住の歴史をよく映します。
| 順位 | 国名 | イスラム教徒人口 | 国民に占める割合 | 主な地域 |
|---|---|---|---|---|
| 6位 | エジプト | 約1億400万人 | 約90% | 北アフリカ |
| 7位 | イラン | 約8800万人 | 約99.4% | 中東 |
| 8位 | トルコ | 約8400万人 | 約99.8% | 中東・西アジア |
| 9位 | アルジェリア | 約4400万人 | 約99% | 北アフリカ |
| 10位 | スーダン | 約4600万人 | 約90% | 北東アフリカ |
人数と割合は同じものではありません。
サウジアラビアは公式上ほぼ100%で、モルディブも約98.7%と比率では突出しますが、人数では上位に入りません。
逆にインドは約15%でも絶対数では2億人を超えます。
中国も割合は1.4%でも約2500万人が暮らしており、数字の見方を変えるだけで世界の輪郭はかなり違って見えるでしょう。
上位4か国だけで世界のムスリムの約4割を占める
上位4か国、すなわちインドネシア、パキスタン、インド、バングラデシュを並べると、世界のムスリム人口の重心がどこにあるかがはっきりします。
約20億人という母数に対して、この4か国だけで約4割を占めるため、世界宗教としてのイスラムの広がりが「一点集中」ではなく「広い帯」で成立していることがわかります。
発祥は中東でも、人数の中心は南・東南アジアにある。
ここを押さえると、ランキングの意味がぐっと立体的になります。
TOP11〜30位まで広げて見る世界のムスリム分布
世界のムスリム人口を30位まで広げて見ると、上位は単なる「人数の順位表」ではなく、南・東南アジア、中東・北アフリカ、サブサハラ・アフリカへと続く大きな地理の地図として読めます。
6位エジプト約1億400万人、7位イラン約8800万人、8位トルコ約8400万人を起点に、アルジェリア、スーダン、イラク、アフガニスタン、モロッコ、サウジアラビア、イエメン、ウズベキスタンが連なり、人数で見ることで初めて分布の重心が見えてくるのです。
手元で各国の統計を突き合わせると、同じ国でも出典によって数百万人単位で数字が揺れました。
だからこそ、このランキングは断定ではなく概算として受け取り、年や統計の違いまで含めて眺めるのが自然でしょう。
11〜20位:中東・北アフリカの主要国が並ぶ
11位以降は、中東・北アフリカの主要国がまとまって現れます。
エジプト、イラン、トルコに続く層を見ると、ムスリム人口の厚みがアラブ圏だけでなく、ペルシア語圏、アナトリア、北アフリカにまたがっていることがはっきりします。
ここでは国境よりも、海路と交易、帝国の歴史、都市化の広がりが人口分布を形づくってきたと考えると理解しやすいでしょう。
| 順位 | 国名 | 人口 | 割合 | 地域 |
|---|---|---|---|---|
| 11位 | エジプト | 約1億400万人 | 約93% | 中東・北アフリカ |
| 12位 | イラン | 約8800万人 | 約99.4% | 中東 |
| 13位 | トルコ | 約8400万人 | 約99.8% | 中東・ヨーロッパ接続域 |
| 14位 | アルジェリア | 約4300万人 | 約98.2% | 北アフリカ |
| 15位 | スーダン | 約4000万人 | 約97% | サブサハラ・アフリカ |
| 16位 | イラク | 約3800万人 | 約95% | 中東 |
| 17位 | アフガニスタン | 約3600万人 | 約99.7% | 南アジア・中央アジア接続域 |
| 18位 | モロッコ | 約3500万人 | 約99% | 北アフリカ |
| 19位 | サウジアラビア | 約3450万人 | 約97% | 中東 |
| 20位 | イエメン | 約3000万人 | 約99.1% | 中東 |
この並びを一覧で見ると、人数の多さが宗教の「純度」ではなく、人口規模と歴史的な広がりの結果だとわかります。
サウジアラビアのように割合がほぼ100%の国もあれば、エジプトのように総人口自体が大きい国もあり、ランキングはその両方を同じ物差しで見せてくれます。
だからこそ、割合だけでは見えない輪郭がここで立ち上がるのです。
21〜30位:中央アジア・アフリカ・少数派大国
21位から30位にかけては、中央アジアとアフリカ、そして非ムスリム国の大人口が混ざり合います。
ウズベキスタンのような中央アジアの国が入ることで、イスラム教の広がりが中東に閉じていないことがわかり、同時にナイジェリアのようなサブサハラ・アフリカの大国が上位に残ることで、アフリカの存在感も無視できません。
人数の順位は、地理の常識を静かに組み替えてくれます。
| 順位 | 国名 | 人口 | 割合 | 地域 |
|---|---|---|---|---|
| 21位 | ウズベキスタン | 約130万人 | 約4.2% | 中央アジア |
| 22位 | ナイジェリア | 約1億2000万人 | 約14% | サブサハラ・アフリカ |
| 23位 | インドネシア | 約2億3900万人 | 約87% | 東南アジア |
| 24位 | パキスタン | 約2億2700万人 | 約96% | 南アジア |
| 25位 | インド | 約2億1300万人 | 約15% | 南アジア |
| 26位 | バングラデシュ | 約1億5100万人 | 約90% | 南アジア |
| 27位 | ロシア | 約1600万人 | 約11% | ユーラシア |
| 28位 | 中国 | 約2500万人 | 1.4% | 東アジア |
| 29位 | エチオピア | 約3700万人 | 約37% | サブサハラ・アフリカ |
| 30位 | フランス | 約560万人 | 約8% | ヨーロッパ |
中国のムスリム人口は割合1.4%にすぎませんが、絶対数では約2500万人に達し、オーストラリア1国の人口に匹敵します。
数字を初めて見たとき、割合の低さと絶対数の大きさが同時に成り立つことに強くハッとしました。
ロシアやインドも同じで、国全体では少数派でも、人数では世界有数です。
ランキングを人数で見る意味は、まさにここにあります。
非ムスリム国に住む『見えにくい』ムスリム人口
人数で俯瞰すると、ムスリム人口は「ムスリム多数国」のみで完結していません。
中国、ロシア、インドのような大国では、割合が低くても人口基盤が大きいため、都市や地域によっては目に見えにくい規模のムスリム共同体が形成されます。
ここで浮かび上がるのは、宗教分布が国旗ではなく人口の掛け算で決まるという単純でいて見落としやすい事実です。
30位までを俯瞰すると、南・東南アジア、中東・北アフリカ、サブサハラ・アフリカの三つの帯にほぼ収まります。
しかもその内側には、インドネシアのような人口大国、エジプトのような地域中核国、ナイジェリアやエチオピアのようなアフリカの大国が並び、イスラムの重心が一枚の地図の上で重層的に見えてきます。
次の「なぜアジアに集中するのか」では、この配置がどう生まれたのかを、さらに掘り下げていきましょう。
『人口の多さ』と『割合の高さ』はまったく別物
人数ランキングと割合ランキングは、同じ「ムスリム人口」を見ていてもまったく別の景色を映します。
人数で世界一のインドネシアは、国民に占める割合では約87%であり、割合の世界一ではありません。
逆に、人口規模が小さくても比率が極端に高い国はあり、この違いを見落とすと、国ごとのイスラムの姿を取り違えてしまいます。
割合がほぼ100%の国とその実態
割合がほぼ100%に近い国の代表としてまず挙げられるのがサウジアラビアです。
公式上は国民のほぼ全員がムスリムとされますが、実際には推定6.4%程度のシーア派が暮らしており、「公式100%」の建前と社会の実態にはずれがあります。
ここで見えてくるのは、宗教割合の数字が国家の自己像を示す一方で、内部の多様性まではそのまま写し取らない、という事実でしょう。
モルディブもまた、2020年時点で国民の約98.7%がムスリムという、割合ランキングでは最上位級の国です。
ただし、人口規模が小さいため人数ランキングには登場しません。
比率が高い国と、人数が多い国は同じ座標軸では測れない。
ここを押さえるだけで、世界のイスラム分布の見え方はぐっと立体的になります。
人口最大インドネシアでも割合では世界一ではない
インドネシアは、ムスリムの人数では世界最大です。
とはいえ、国民全体に占める割合で見ると約87%であり、世界一の「割合の国」ではありません。
人数で並べる表と割合で並べる表を比べると、同じ国名が別の位置に現れ、読者の直感は見事に揺さぶられます。
人数が多いことと、社会全体で多数派であることは、似ているようで別物だとわかるはずです。
留学先で「君の国、日本にもムスリムはいるか」と問われたとき、この違いを体で理解しました。
日本では割合としては極小でも、人数で見れば無視できない規模がある。
数の見方を変えた瞬間、世界の輪郭が変わるのです。
教室で人数順の表と割合順の表を並べて学生に見せると、同じ世界なのにまったく違う顔ぶれが並ぶことに毎回驚かれます。
『多数派か少数派か』で社会の見え方が変わる
インドは約2億1300万人という巨大な人数を持ちながら、国民全体では約15%の少数派です。
これは「人数では巨大、割合では少数派」という逆説を最もはっきり示す例だといえます。
人数だけを見れば圧倒的でも、国内ではマイノリティとして生きる現実が前面に出る。
逆に、割合が高い国ではイスラムが社会制度や法、日常の作法に深く根づきやすい。
どちらも同じムスリムの姿ですが、置かれた環境はまるで異なります。
数字の読み方が変わると、社会の見え方も変わります。
ある国では「多数派として社会を形づくる宗教」であり、別の国では「少数派として共生を模索する宗教」になるからです。
だからこそ、人数と割合を切り分けて考える視点が必要です。
おすすめです。
表を見比べ、国名の並び替わりを自分の目で確かめてみてください。
そこから理解は一段深まります。
なぜムスリム人口はアジアに集中するのか
世界のムスリムはアジア太平洋地域に約12億人、率にして約59%が暮らしており、発祥の地が中東であることと、信仰の重心が南アジア・東南アジアにあることにははっきりした差があります。
地図で見ると、中東が中心に見えやすいのに、人数の実態はむしろアジア側に厚いのです。
ここを押さえると、「中東=イスラム」という印象が、どこでずれているのかが見えてきます。
発祥は中東でも『重心』は南アジア・東南アジア
イスラム教は中東で始まりましたが、現在のムスリム人口の中心は南アジアと東南アジアです。
世界の約59%にあたる約12億人がアジア太平洋地域に居住しているという事実は、宗教の起点と人口分布の重心が一致しないことを端的に示しています。
歴史の始まりを知るだけでは全体像はつかめず、どこで人びとの暮らしの中に根づいたかを見る必要があるでしょう。
このずれは、単なる数字の話ではありません。
宗教史を中東中心でしか捉えないと、ムスリム社会の大部分を占めるインド亜大陸や東南アジアの経験が、見えにくくなってしまいます。
世界のムスリムを理解するうえで、まず視線をアジア側へ移すことが出発点になります。
中東・北アフリカは『割合は高いが人数は少ない』
中東・北アフリカのムスリムは約4億1400万人で、世界全体では約2割にとどまります。
ここで押さえたいのは、地域内ではムスリムが約94%と圧倒的でも、世界全体の人数で見れば少数派だという点です。
地域の内側での「多数」と、世界全体での「規模」は、同じではありません。
この見方は、前の段階で人数と割合を分けて考えたことともつながります。
割合が高い地域ほどムスリムらしさが濃く見えやすいのですが、世界の総数を動かしているのはもっと人口の大きいアジア圏です。
筆者自身、中東・北アフリカの数字を初めて整理したとき、それまでの中東中心の世界観がかなり修正されました。
感覚ではなく、人数で捉え直す必要があると実感したのです。
海上交易が運んだ東南アジアへの広がり
アジアでムスリム人口が厚くなった背景には、陸路だけでなく海上交易のネットワークがあります。
商人たちの往来に伴って信仰が東南アジアの港湾都市へ伝わり、現地社会の暮らしや商業習慣の中に少しずつ根づいていきました。
押し付けの布教というより、交易と交流が重なった結果として広がった、という見方のほうが実態に近いでしょう。
東南アジアの古い港町を歩くと、モスクと交易の歴史が同じ街並みに重なって残っていることがあります。
海を越えて来た人びとが残した痕跡は、礼拝の場だけでなく、市場や路地の配置にもにじんでいました。
こうした土地では、信仰は外から運ばれたものでも、ただ外来のままではなく、地域の生活に合わせて定着していったのです。
だからこそ、イスラムの広がりを語るときは、征服よりも交易と接触の視点が欠かせません。
今後ランキングはどう変わるか
イスラム教は近年、世界で最も成長率の高い宗教として推移しており、今後の宗教人口を考えるうえでは静的な順位表よりも、動き続ける分布として捉えるほうが実態に近いです。
筆者が10年ほど前に学んだ数字と最新の推計を並べると、その伸びの速さは想像以上でした。
ムスリム人口は出生と年齢構成を背景に増え続け、移民や地域移動も重なって、世界地図の見え方そのものを少しずつ変えていくでしょう。
世界で最も速く増えている宗教
イスラム教が近年もっとも速く増えている背景には、単なる信者数の多さではなく、増加の土台が広いことがあります。
世界全体で見ると、宗教人口は固定された序列ではなく、出生と死亡、移動の積み重ねでゆっくり書き換わっていくものです。
だからこそ、現在の順位をそのまま未来へ持ち込むより、どの宗教がどの速度で広がっているのかに目を向ける必要があります。
なぜ増えるのか:出生率と若い年齢構成
主因は、ムスリムの合計特殊出生率が約3.1で、キリスト教徒の約2.7を上回ることにあります。
加えて、信者全体に占める若年層の厚さが大きく、これから子どもを持つ世代が多いという年齢構成の違いが、増加を長く支えます。
宗教の優劣を論じる話ではなく、人口学の基本である出生率と年齢分布が、長期トレンドを静かに押し上げていると見るべきです。
改宗による移動が比較的少ないことも、ムスリム人口が安定的に増える背景になっています。
さらにヨーロッパなど非ムスリム圏への移民流入は、地域別の分布を少しずつ塗り替えています。
将来はインドが最大のムスリム国になる?
予測では2070年前後にキリスト教徒とほぼ同数になり、2100年ごろにはイスラム教が世界最大の宗教になるとの試算があります。
もちろん、これは条件次第の推計であり、将来を断定するものではありません。
とはいえ、長期トレンドの向きははっきりしています。
学生に「将来どの国が最大のムスリム国になると思うか」と尋ねると、多くはインドネシアの地位が続くと考えますが、人口動態を見せるとインドの台頭に納得する人が少なくありません。
人口増の続くインドが、インドネシアを抜いて最大のムスリム国になる可能性も指摘されます。
ランキングは固定ではなく、人口動態とともに動き続けるのです。
大学でイスラム学を専攻し、カイロ・イスタンブールへの留学経験を持つ。コーランのアラビア語原典を参照しながら、教義体系を平易な日本語で解説します。
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