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文化・暮らし

イスタンブールの街角で見た淡いシルクのスカーフと、ジャカルタの通勤電車で見た機能素材の鮮やかな巻き方は、どちらも同じ「ヒジャブ」と呼ばれていました。けれど、その言葉をただ「頭を覆う布」と受け取るだけでは、聖典の語義も、法学上の議論も、地域ごとの衣装文化も、現代社会で起きている規制や選択の現実も見えてきません。

信仰と実践

大学の講義で五行を板書するとき、筆者はまず「義務的喜捨=ザカート(zakāt/زكاة)」と一言で示します。ザカートはイスラム教の五行の第三に位置づく宗教的義務であり、任意の慈善であるサダカ(ṣadaqa/صدقة)とは別に整えられた、制度的な再分配の仕組みとして理解するのが出発点です。

文化・暮らし

ニカー(婚姻契約)の核にあるのは、当事者の同意、条件の合意、証人、マフル、そして多くの法学派で論じられるワリーです。筆者が日本各地のモスクを歩いてまず印象に残ったのは、「先に役所で民事婚を済ませる」という運用がどこでも一貫していた一方で、

歴史・文明

欧州の科学史博物館でイスラム世界製作のアストロラーベを前にすると、黄金時代という言葉が抽象的な称号ではなく、器具や書物のかたちで中世ヨーロッパに残った現実だったと実感します。

文化・暮らし

モスクの丸屋根や尖塔だけを眺めていると、イスラム建築の面白さは半分も見えてきません。礼拝の方向を定める装置としての空間、宮殿やマドラサ、市場や浴場まで含む都市の骨格、そして壁面を埋める数学的な装飾の秩序までつなげて見ると、この建築は約1300年以上にわたる文明の思考そのものとして立ち上がります。

歴史・文明

イスタンブルのトプカプ宮殿でオスマン帝国のフェルマン写本を前にしたとき、流麗なトゥグラの下に並ぶ命令文から見えたのは、征服王朝というより、多民族と多宗教を束ねる統治の技術でした。コルドバの大モスクに残る増改築の継ぎ目を見上げたときも、建築そのものが、支配の交代と共同体の重なりを静かに語っていました。

文化・暮らし

博物館の展示室でコーラン写本に向き合うと、筆者はまず文字そのものの張りつめた美しさと余白の均衡に目を奪われ、そのあと視線が縁取りの植物文様へするすると滑っていきます。

歴史・文明

エジプトで買い物をすると、アラビア語のレシートに٠١٢٣٤٥٦٧٨٩が並んでいるのに気づきます。一方で、モロッコなど北アフリカ(マグリブ)では西アラビア数字(0123456789)が広く用いられることが多く、同じ都市内でも文脈によって字形が切り替わる場面が見られます。

歴史・文明

十字軍は1095年から約200年にわたりヨーロッパからイスラム世界へ派遣された軍事遠征です。なぜ始まり、何が起き、中東やヨーロッパにどんな影響を残したのか。全8回の遠征を時系列で整理し、背景・経過・歴史的意義を解説します。

歴史・文明

イスラム哲学はギリシア哲学を翻訳・発展させた知的伝統です。イブン・シーナー(アヴィセンナ)やイブン・ルシュド(アヴェロエス)ら代表的思想家の業績と、イスラム哲学がヨーロッパのスコラ学に与えた影響をわかりやすく解説します。

基礎知識

ルーミーの詩に惹かれたり、トルコでメヴレヴィーの旋回舞踊(セマー)を見てみたいと思ったりしたとき、まず押さえたいのは、スーフィズム(タサウウフ)が「踊る集団」でも「イスラム教の別宗派」でもないという点です。

歴史・文明

東京・代々木上原の東京ジャーミイを見学すると、礼拝のための静かな空間でありながら、地域の見学者が建築や文化に引かれて自然に出入りしている光景に出会います。日本とイスラムの関係は、こうした「遠い宗教」ではなく「街の中で交わる文化」として見えてくるもので、本格的な接点は幕末から明治以降に始まり、