最新記事

コラム

コーランの日本語訳を選ぶときは、岩波の井筒俊彦訳、中公の藤本勝次・伴康哉・池田修訳、日亜対訳注解 聖クルアーンの三田了一訳を、文体・原文への忠実性・注解の厚み・原文併記の有無で見比べると迷いが減ります。

基礎知識

ハディースとは、預言者ムハンマドの言葉・行為・黙認を伝える伝承の総称で、本文であるマトン(内容)と、誰から誰へ伝わったかを示すイスナード(伝承経路)から成ります。コーランが神の啓示とされる聖典であるのに対し、ハディースはそれを補足しつつ、預言者の範例であるスンナを具体的に伝える文献層です。

基礎知識

「シャリーア」と聞いて、まず厳しい刑罰を思い浮かべる方は少なくありません。けれども、その原義は「水場へ至る道」、すなわち神が示す生の道筋であり、礼拝や断食のような信仰実践から、婚姻や取引にかかわる規範までを含む、もっと広い枠組みです。

基礎知識

クルアーンを通読して関連するアーヤを縦に追っていくと、天使(マラーイカ)は単なる超自然的存在の一覧ではなく、啓示を預言者へ運ぶ働きから、人の死、バルザフ(死後の中間状態)、角笛、復活、審判へと連なる一つの世界像の中で立ち上がってきます。

文化・暮らし

ハラール(ハラル)はイスラム法で許された食品基準。豚肉・アルコール以外にも注意すべき原材料があります。コンビニ・スーパーで使える食品判別リスト、日本のハラール認証マーク一覧、ムスリムの友人を食事に誘うときのポイントまで解説。

文化・暮らし

コンビニでラムネ菓子を手に取ったとき、原材料欄の「ゼラチン」「乳化剤」に目が止まり、由来が書かれていないだけで判断が止まることがあります。社員食堂でも「ポークフリー」と書いてあれば安心だと思いかけて、実際には調味料や下処理まで見ないと何も言えないと痛感しました。

基礎知識

イスラム教で豚肉が禁じられる第一の理由は、豚が不潔だからでも健康に悪いからでもなく、コーランに明文でそう定められているからです。筆者が雌牛章 2:173、食卓章 5:3、家畜章 6:145、蜜蜂章 16:115を並べて読むと、「死肉・血・豚肉・神以外に献げられたもの」という並列が繰り返し現れ、

信仰と実践

ラマダンは「断食の名前」ではなく、イスラム暦第9月を指す月名です。この月に行われる断食がサウム(斎戒)であり、暁から日没まで水を含む飲食を慎む一方、病気や旅行、妊娠・授乳、高齢、月経などには免除があり、その後の対応も後日補うカダーと、恒常的な困難に対するフィドヤとで区別して考える必要があります。

文化・暮らし

イスタンブールの街角で見た淡いシルクのスカーフと、ジャカルタの通勤電車で見た機能素材の鮮やかな巻き方は、どちらも同じ「ヒジャブ」と呼ばれていました。けれど、その言葉をただ「頭を覆う布」と受け取るだけでは、聖典の語義も、法学上の議論も、地域ごとの衣装文化も、現代社会で起きている規制や選択の現実も見えてきません。

信仰と実践

大学の講義で五行を板書するとき、筆者はまず「義務的喜捨=ザカート(zakāt/زكاة)」と一言で示します。ザカートはイスラム教の五行の第三に位置づく宗教的義務であり、任意の慈善であるサダカ(ṣadaqa/صدقة)とは別に整えられた、制度的な再分配の仕組みとして理解するのが出発点です。

文化・暮らし

ニカー(婚姻契約)の核にあるのは、当事者の同意、条件の合意、証人、マフル、そして多くの法学派で論じられるワリーです。筆者が日本各地のモスクを歩いてまず印象に残ったのは、「先に役所で民事婚を済ませる」という運用がどこでも一貫していた一方で、

歴史・文明

欧州の科学史博物館でイスラム世界製作のアストロラーベを前にすると、黄金時代という言葉が抽象的な称号ではなく、器具や書物のかたちで中世ヨーロッパに残った現実だったと実感します。