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イスラム建築の特徴|モスク・宮殿・幾何学模様
モスクの丸屋根や尖塔だけを眺めていると、イスラム建築の面白さは半分も見えてきません。礼拝の方向を定める装置としての空間、宮殿やマドラサ、市場や浴場まで含む都市の骨格、そして壁面を埋める数学的な装飾の秩序までつなげて見ると、この建築は約1300年以上にわたる文明の思考そのものとして立ち上がります。
イスラム帝国の歴史|ウマイヤからオスマンまで
イスタンブルのトプカプ宮殿でオスマン帝国のフェルマン写本を前にしたとき、流麗なトゥグラの下に並ぶ命令文から見えたのは、征服王朝というより、多民族と多宗教を束ねる統治の技術でした。コルドバの大モスクに残る増改築の継ぎ目を見上げたときも、建築そのものが、支配の交代と共同体の重なりを静かに語っていました。
イスラム美術入門|アラベスク・書道・タイルの見方
博物館の展示室でコーラン写本に向き合うと、筆者はまず文字そのものの張りつめた美しさと余白の均衡に目を奪われ、そのあと視線が縁取りの植物文様へするすると滑っていきます。
アラビア数字の起源|インド発・イスラム経由
エジプトで買い物をすると、アラビア語のレシートに٠١٢٣٤٥٦٧٨٩が並んでいるのに気づきます。一方で、モロッコなど北アフリカ(マグリブ)では西アラビア数字(0123456789)が広く用いられることが多く、同じ都市内でも文脈によって字形が切り替わる場面が見られます。
十字軍とは|約200年の遠征をわかりやすく解説
十字軍は1095年から約200年にわたりヨーロッパからイスラム世界へ派遣された軍事遠征です。なぜ始まり、何が起き、中東やヨーロッパにどんな影響を残したのか。全8回の遠征を時系列で整理し、背景・経過・歴史的意義を解説します。
イスラム哲学入門|ギリシア思想を受け継いだ知の系譜
イスラム哲学はギリシア哲学を翻訳・発展させた知的伝統です。イブン・シーナー(アヴィセンナ)やイブン・ルシュド(アヴェロエス)ら代表的思想家の業績と、イスラム哲学がヨーロッパのスコラ学に与えた影響をわかりやすく解説します。
スーフィズムとは|イスラム神秘主義の思想と修行
ルーミーの詩に惹かれたり、トルコでメヴレヴィーの旋回舞踊(セマー)を見てみたいと思ったりしたとき、まず押さえたいのは、スーフィズム(タサウウフ)が「踊る集団」でも「イスラム教の別宗派」でもないという点です。
日本とイスラム教の歴史|明治から現代まで
東京・代々木上原の東京ジャーミイを見学すると、礼拝のための静かな空間でありながら、地域の見学者が建築や文化に引かれて自然に出入りしている光景に出会います。日本とイスラムの関係は、こうした「遠い宗教」ではなく「街の中で交わる文化」として見えてくるもので、本格的な接点は幕末から明治以降に始まり、
イスラム文化の基礎知識|暮らし・祝祭・マナー
取材で各地のモスクを訪ねるたび、礼拝空間に満ちる静けさは共通しているのに、求められる服装や撮影のルールには土地ごとの違いがあることに気づかされました。イスラム文化は単一の「中東文化」ではなく、神への帰依という共通原則の上に、服装、食、言語の地域差が折り重なる、約19億〜20億人規模の広大な文化圏です。
イスラム教の祝日一覧|イードとマウリド、日付が動く理由
イスラム教の祝日は、西暦で日付が固定されません。ヒジュラ暦が12か月・約354日の太陰暦なので、祝祭日は毎年およそ11日ずつ早まり、日本のモスクでイード礼拝が掲示板やSNSで複数回告知される光景も、そんな暦の動きと実際の運用が重なった結果です。
ムスリムへのマナー|挨拶・食事・贈り物
取材で在日ムスリムの方々に初対面の挨拶を尋ねると、いちばん安心できるのは「会釈と言葉の挨拶」という答えが目立ちました。日本でムスリムの同僚や取引先、友人と接する場面では、相手への敬意を示すアダブの感覚を押さえつつ、まずは非接触で自然に始めるのが外しにくい一歩です。
イスラム金融とは|利子禁止の5原則と主要契約
イスラム金融は、しばしば「無利子銀行」とひとことで片づけられますが、実際には売買益、賃料、利益分配、共同出資を組み合わせて成り立つ、ひとつの独自な金融体系です。筆者が住宅共同所有のディミニッシング・ムシャーラカ(逓減ムシャーラカ)の契約書を読んだときも、